本日は2017年10月にカタログモデルとして追加されたBRZの最上級モデルとなるSTI Sportに試乗させていただきました。試乗させていただいた店は、19年ほど前、私が初代レガシィB4となるBE5のRSKを購入した販売店です。もちろん、誰一人として当時の関係者は居ないので私にとっては懐かしいお店であってもお店の人にとっての私は一見さんそのものです。今回、この懐かしの販売店にBRZ STI Sport 6MTの試乗車があるという情報を嗅ぎつけ、いきなりの試乗申し込み電話に快諾してくださいました!
BRZボディタイプ 2ドアクーペ
エンジン FA20型:水平対向4気筒 ポート噴射+筒内直噴(D-4S)
駆動方式 FR
最高出力 147kW (200PS)/7,000rpm
最大トルク 205N·m (20.9kgf·m)/6,400-6,600rpm
変速機 6速MT/6速AT
サスペンション 前:ストラット
後:ダブルウィッシュボーン
全長 4,240mm
全幅 1,775mm
全高 1,300mm
ホイールベース 2,570mm
車両重量 1,190kg-1,250kg
最小回転半径 5.4m
上記がBRZの基本スペックでありますが、STI Sportは内外装が最上位にふさわしいデザインに変更され、さらにタイヤも18インチとなっています。さらに、サスペンションもさらに練り込まれた仕様になっており、出る前にターボで過給して300馬力くらいになるだとか、ターボは付けなくてもメカチューンのみで多少のパワーアップは果たすであろうと噂されていましたが、トランスミッションも含め特にそういうところには手を入れずにサスペンションチューニングやブレンボ製ブレーキ、内装はセミバケットのアルカンターラシートを採用し元々の素性の良さを活かした内容となっているようです。トヨタ86GRのようにこれでもか!と贅沢な部品を投入したバブリーな仕様とは違い、あくまでもカタログモデルとしての最上位を狙ったもののようです。ブレンボといってもそんなに容量の大きなものではなく、むしろあのブレンボの扱いやすい踏み味を普段乗りで楽しめるような感じとなっています。そう、この仕様は無駄にオーバースペックにせず、普段乗りからファントゥドライブまで等身大で楽しめるBRZのさらに高級版といったところと言えそうです。さて、予め試乗予約の電話を入れていたのでいきなり試乗車が用意されていました。86/BRZってこれが初めての試乗なので実に楽しみでした。今回も営業さんが横乗りでの試乗なのでただの街中ドライブですが、この車はその街中ドライブですら如何に楽しく乗れるものなのかを試しに来たわけなので、街中ドライブ上等!です。この車も目線が低く、シートポジションも低くてシフトレバーが少し高良い位置にあるため、レーシーな雰囲気で第一印象はとてもGoodでした。そして、私のこだわりポイントであるクラッチとフットレスト間のクリアランスも充分でこれも好印象でした。しかし!ハンドルチルトで上下前後の調整をいくらやってもしっくり来ず、もう少しだけハンドルを上に持って行きたかったです。さて走り出してみるとなんだか重っ苦しい印象があり、軽快な加速というよりアクセルを踏み込んだ分のリニアな加速といった感じです。これはギヤ比によって味付けが変わるのでなんとも言えません。そして、六甲山脈系にやや差し掛かる住宅街のそこそこ急坂な道路に差し掛かったとき、頭の中で思ったのが「ええ?こいつ本当に200馬力もあるのか??」という言葉でした。 どんな物体であっても坂道に、特に急坂に差し掛かったときはより強い引力に逆らわなければいけないため、車の動きが鈍くなることは避けられない現象です。しかしながら、平地でもやや頼りないパワー感であったBRZが急坂にさしかかった途端に想像以上にエンジンが苦しそうにしたので、あわててセカンドに落としました。これもギヤ比の問題だと言えばそうなのですが、DC5インテRの場合は3速4速のまま急坂に差し掛かってもほとんど何事もないように(そのまま平地を走っているように)上るため、駆動方式や年代は違うとはいえほぼ似たようなスペックの、しかも現役モデルのカタログ最上級スペシャルバージョンのモデルでこんな頼りないエンジンなのかと心の中で驚きました。でもセカンド(2速)に落とせば力強く上ってはくれますが、インテとギヤ比が違うとはいえ3速のままでスルスル上ってくれなかったことに「本当に200馬力もあるのか?」と思ったのです。でも、しつこいようですがこのあたりはギヤ比の違いでいくらでもトルクの調整が付くので決してBRZを貶しているわけではありません。私はこういう説明がヘタなのでまた元愛車のDC5インテを上げて他の車を下げているような表現と捉えられそうですが、そこはもう読み手次第なので弁解しません。そういうわけで平地でも坂道でも特にエンジンのパワーを感じることは無かったのですが、やはりブレンボのブレーキの踏み味は最高ですね!殆どの車、特に日本車に共通するフニャっとした踏み心地は一切無く、踏んだら踏んだだけのレスポンスが返ってくる踏み味は本当に乗りやすいです。ちなみにこのBRZのブレンボは86GRのフロントモノブロック対向6ピストンのガチなやつではなく、フロント4ピストンではありますがこれでも充分にオーバースペックです。公道でローターが真っ赤に焼けただれるほどぶっ飛ばすようなことをしたらお縄になってしまいます。というわけで今回もただの街中ドライブであったのでこの車の特徴であるFRらしい乗り味や高速旋回時の挙動などさっぱりわからず仕舞いでしたが、とにかく言えることは、この前試乗したWRX STIのような完全なオーバースペックな車に乗るよりは、このような身の丈に合ったスペックの車で日常の運転を楽しく、しかも低燃費で乗り回す方がよほど有意義に感じられます。でもこの車、フルモデルチェンジの時期がイマイチ読みにくそうですね。